歯は再生ができない
昔から虫歯ができればその場所を削ってしまい、新たな詰め物をして修復するという治療が一般的でした。
このような治療がされるのは、歯というのは再生しないものであるということが言われてきたためです。
生まれてきて生えてきた乳歯とその後に生え変わる永久歯以外には人間に歯が生えることはなく、一度削れてしまったり折れてしまった歯は生え変わることもないですし失った部分を再生させることはできないのです。
そのため、歯は一生の財産であり、持っている歯を失わないように大事にするべきだということを子供の頃に口酸っぱく言われてしまった人も多くいます。
歯の再生技術をヒトへ応用できる?
岡山大学の窪木拓男教授、大島正充助教、大野充昭助教、理化学研究所多細胞システム形成研究センターの辻孝チームリーダーらの研究グループは、器官・臓器の種となる器官原基を再生する細胞操作技術(器官原基法)を用いて、ビーグル犬における構造的機能的に完全な歯の再現を実現しました。
今回の実証によって、歯の再生治療が可能となることを証明するためのトランスレーショナル研究と位置付けることができるのです。
また、分泌腺や毛髪などの他臓器にもこの研究は応用可能な器官再生医療の発展につなげることができると考えられています。
この研究結果については科学雑誌「Scientific Reports」にて公開されています。
もともと、歯の喪失についてはインプラントや義歯といったものを利用しての治療が進められてきました。
しかし、侵害刺激によって神経機能や歯の生理的機能を有していないことが問題となっており、可能であれば歯の再生治療ができないかと懸案されてき続けていました。
今回の研究グループの研究では、ビーグル犬の永久歯胚細胞を採取して、器官原基法により再構築したイヌ再生歯胚を移植して完全な永久歯を再生することに成功しています。
これによって再生された歯は、エナメル質や象牙質の構造、歯の移動が天然の歯と同じものを再生することができているのです。
この研究結果を応用すれば人間の歯についても再生をすることが可能であるということが言われており、今での歯の治療法に新しい方法が加わることが予想されているのです。
ただし、この実現化に向けてはこの再現を可能とする技術を実現するための細胞シーズを取得することが求められています。
そのためには臨床実用化に向けて様々な技術研究と研究開発が求められており、実現まではまだ時間がかかるものの大幅な期待が持たれています。
